白内障とは、目の中にある水晶体というレンズが濁ってくる病気です。
レンズが濁ると視界がかすんできて、進行すると重篤な視力低下を引き起こしてしまい、眼鏡やコンタクトレンズでは視力を矯正することが出来なくなります。
黒目(角膜)の端の方に器具の出入り口を作ります。
水晶体は袋に包まれており、濁るのはその中身だけなので、袋の全面に丸い穴を開けます。
そこから専用の器具を入れ、濁りを超音波で砕いて吸い出します。
残った袋の中に人工の水晶体(眼内レンズ)を入れて手術は終了です。
所要時間はだいたい10~15分位です。
まず麻酔の点眼をした後に、眼の周りを消毒し、顔の上に清潔な布をかぶせます。
その後麻酔の注射を白目の奥の方にしますが、それほど痛くありません。
手術中は周りの声も聞こえますし、喋ることも出来ますので、「息苦しい」「咳が出そう」「気分が悪い」などは遠慮なくおっしゃって下さい。
急に咳をしたり顔が動いたりすると危険ですので気をつけて下さい。
水晶体を取ってしまうと強い遠視になり、分厚い眼鏡をかけないと物がはっきりと見えない状態になります。そのため、代わりに人工の水晶体(眼内レンズ)を入れます。
単焦点眼内レンズの場合は、遠くが良く見えるように度数を合わせた場合は近くは老眼鏡が必要ですし、近くに合わせた場合は遠く用の眼鏡が必要になります。
多焦点眼内レンズの場合は、眼鏡の使用頻度を減らすことができ、おおむねどの距離にもピントを合わせることが可能です。くわしくはこちら
目標の度数をどちらに合わせるかはこれまでの患者さんの状態などから相談して決めていきます。
眼内レンズの度数を決めるために黒目の表面のカーブの具合と目の長さを測りますが、多少誤差が入ることがあります。そのときはピントの合う距離が目標の地点よりも遠くなったり近くなったりしますが、ある程度の誤差については手術後眼鏡で調節します。
令和1年12月から新しい白内障手術装置として米国アルコン社製CENTURION VISION SYSTEMを導入いたしました。あわせて令和2年1月より最新の制御システムであるACTIVE SENTRYを新ハンドピースとともに日本で最初に採用しております。
手術中の予期せぬ変動に対して瞬時に対応できるシステムで、より安全安心な手術が可能になっております。
ACTIVE SENTRYは、ハンドピース自体にセンサーを搭載したことで、白内障手術中に眼に近い位置で眼圧の変動をいち早く、より正確に検知することが可能になりました。
ACTIVE SENTRYは白内障手術中の眼圧を一定に保つために、眼圧の変動を常時モニタリングしCENTURION本体に信号を送ります。
その信号を受け、2枚の板に挟まれた灌流液パックが自動で加圧を調整し、必要な量の灌流液をリアルタイムで自動注入します(図1)。
この最新の灌流システムにより、当社従来品と比較して、白内障手術中の眼圧の変動が抑えられることがデータで示されています(図2)。
手術中に眼圧を一定値に保つことは、安全で安定した手術を行う上で重要な要素になります。また、患者様にとっても手術を安心して受けていただく上で、メリットがあります。
ACTIVE SENTRYは眼科医にとっても患者様にとっても、より良い手術環境を整え、白内障手術のリスクを低減し、より安全で安定した手術を可能にすることで、より理想的な術後結果を目指します。